必死で生きてきた

 先日、ある知り合いの女の子と2人で食事をした。彼女はいま就職活動中で面接を受ける機会が多いらしい。面接のとき、とりあえずの掴みとしてこんな台詞を言うらしい。

 『私は今まで必死に生きてきました』

 もし私が面接官だったら思わず苦笑いしてしまいそうな台詞であるが、小学生のころから彼女のことを知っている私としてはその言葉かウソではないことを知っているので複雑な気持ちになった。確かに彼女は必死に生きて来た。私だったら挫けていたかもしれないような試練を乗り越えてきた。そういう意味では私の半分にも満たない年齢の彼女を尊敬すらする。

 そして考えてみれば世の中の多くの人は必死に生き抜いて来ている。生きるということはそれほどに大変なことなのだろう。逆に考えてみれば生きて行くことに必死じゃない者などいやしないようにさえ思えてくる。

 他人の人生と自分の人生を比べることは正しくないかもしれないが、私の人生はヌルイものだ。こんな生半可な生き方でよくこの年までやってこれたものだ。おそらく運が良かっただけだろう。人生は、世の中は荒波だ。あらためてそう思う。。