古い本 「深夜特急」

 ずいぶん昔に買って最初の数十ページを読んだだけで挫けてしまいずっと放ったらかしになっている本というのがかなりある。何年かに一度、本の片付けをするときに多くの本を捨ててしまうのだがこの本は何故だか捨てられずに残していた。それはおそらく私が若い頃にヒッピー気取りで旅をした経験上いつかは読まなければならないと思っていたからだ。

 9月の中頃から読み始めて、途中で6日間の北海道旅行を挟み、帰ってきてからしばらく手に取ることもなくまた``積む" ことになるんじゃないかた恐れたが、なんとかまた再開することが出来た。

 スマホ も PC も、携帯電話さえない頃の旅というものがいかに大事だったかを思い出す。私がインドに旅立ったのが28年ほど前のこと。『もしかしたら、もう帰ってこれないかも』そんな覚悟を持って旅に出た。この本の著者も直接的には言わないがこの本の中にも死の香りが漂っている。

 全6巻の物語。いま5巻の中頃まで読み進んでいる。著者の旅も終わりに近づいているということだろう。私もそうだったが、旅というのはいずれ終わる。旅の後半になると「この旅を終えて現実に戻ることがはたしてできるのだろうか」という漠然とした不安が浮かんでくる。そういえば松尾芭蕉の辞世の句はこれだったな。

 『旅に病んで 夢は枯れ野を 駆け巡る』

 旅をする者、旅をしたことのある者。そんな、変な仲間意識を感じながら読み進めています。

 

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