訃報 さくらももこ

 さくらももこの訃報には本当におどろいた。年が近いせいもあってか身近な存在に感じていたし、あのバブルの終わり頃のイメージというのは’まんま’さくらももこのイメージなのである。日曜日の夕方、家でアニメ「サザエさん」を見るということはなんとなく有意義な休日を過ごせなかった切なさを感じさせられたが、それが「ちびまるこちゃん」なら自分を肯定することができた。それくらい「ちびまるこちゃん」は私たちの世代をターゲットにしたアニメであるように感じたし、私たち世代に対するメッセージがあった。

 テレビの中のまるちゃんは’さくらももこ’の少女時代であろうことは安易に想像できた。そして私が年を取れば取るほどに まるちゃんを見て切なく感じるようになった。
まるちゃんは本当にどこにでも居そうな小学生の女の子であるが、さくらももこは私とほぼ同世代だ。年を取るというのはそれほど楽なことじゃない。この小学生の まるちゃんもいずれは大人になるのである。

 大人になって編集者の男の人と結婚しそして離婚するというような過酷な人生がこの先の まるちゃんに待ち構えているのかと思うとなんだか切なくて。そしてもっと言うならば、まるちゃんはこの先53才で乳がんで死んでしまうということまで知ってしまうともう無邪気に’ちびまるこちゃん’見ていられないのである。

 彼女の人生が幸せだったかどうかは私には知る由もないが、53歳という年齢が早かったとも思わない。太く短く生きた、平成で最も売れた漫画家。それがさくらももこだったということだろう。