将来は安泰

 私の古くからの友達、女友達Aちゃん。今ではもうすっかりミドルエイジ。

 思えばAちゃんと初めて出会ったのが私が26才でAちゃんが18才の時なのでもうかれこれ四半世紀を超える付き合いになる。若い頃はいつも一緒にバカばかりしていたAちゃんであるが今では立派に2人の子を持つ母である。その子供たちにお父さんはいないが・・・。 それでもまぁ頑張って女手ひとつで11才と9才まで育て上げたのだから立派なものである。

 Aちゃんは結構なガラクタで、男と付き合っても長続きした試しが無かった。そんなAちゃんの結婚はもちろん「できちゃった婚」である。Aちゃんが結婚するときのこと、私は少ないながらも祝い金を渡しながらAちゃんにこう言ったのを覚えている。

『嫌なことがあっても3年は我慢しろよ。生まれてくる子供が可哀そうだから何があっても3年は我慢しろ。』

 Aちゃんは私の言いつけ以上に頑張り結婚生活は5年も続いた。が、やはり私が思っていた通りその結婚生活は破綻してしまいAちゃんはシングルマザーとして再スタートを切り、子供たちは実家から手助けしてもらいながらも元気に育っていた。そして、先週末はその子供たちがAちゃんの実家に泊まりに行っているということで久しぶりにAちゃんと飲みにいってきた。その席上での話。

 Aちゃんはしきりに子供たちが可哀そうだと嘆く。Aちゃんが言うには、自分は誰と付き合ってもうまく行かなかったし結婚生活もたったの5年しかもたなかった。自分は誰ともうまくやっていけない性格に問題を抱えた女である。にも拘らず、子供たちはこんな私の子供として生まれてしまい、自ら選んだワケでもないのに私の子供として生きている。こんな不幸はない、と嘆くのである。

 確かにAちゃんの言うことはもっともだ。本当なら2人いるはずなのにそれが1人しかいなくて、しかもそのたった1人の親が性格異常者なんてたまったもんじゃない。Aちゃんの2人の子供には心底同情する。

 と、いうのが私の本音であるがそれを言ってしまうと身も蓋もないので形だけでもAちゃんを励ましてやった。しかしまぁ、そんなことを考えるというのはAちゃんも親として成長した証であるし、そして何よりAちゃんの実家はかなりの資産家で、近い将来Aちゃんの元にその資産が転がり込むのは間違いないし、AちゃんもAちゃんの子供も未来は明るいと思う。

 Aちゃんももう44才か~。バカなことばかりしていた20年前が懐かしいよ。。