台風21号の爪痕

 先日の台風21号は私の住む大阪に大きなダメージを与えた。我が家では5分程だった停電も線路を挟んだ向こう側ではその後2日にわたって停電したままだったし、どこかでケーブルテレビの線が切れてしまったのか我家を含めてこの近辺一帯で3日間に渡ってテレビを見ることが出来なかった。
こんな時は普段親密にしている親族や友人のことが気になる。友人にはLINEで簡単な状況確認メッセージを送り、実家の母には直接電話を掛けた。母は兄と一緒に住んでいるのでとりあえず簡単な安否確認だけでその日は済ませた。

 その翌日、すこし落ち着いたのだろうか今度は母の方から電話が掛かってきた。その電話では母が一方的に自宅の被害状況を興奮気味にまくし立てていた。私は外出中であまり長電話はできない状態であったが少しだけでもと思い母の言葉に耳を傾けていた。
母が言うには落ち葉や飛んできたゴミクズなどの片づけが大変なので手伝いに来いというストレートなものと、台風の風による被害状況だった。その話が終わると今度は向かいに住む〇〇さんの家ではこんな被害があった。町内で最も被害が大きかったのはウチから150メートルほど離れた△△さんの家で西面の家の壁が落ちた等々。黙って聞いていいれば永遠に続きそうな勢いであった。そんな話を道端に停めた車の中で聞きながら
『どうしてこの人は自分のことばかり話して私のことを聞かないのだろう? 近所に住む普段ロクに付き合いもない他人よりもどうして腹を痛めて生んだ我が子のことを心配しないのだろうか?』
と、心底不思議な気分になった。

 そんなことを考えていると。私が子供のころからの母の身勝手な育て方や、少し成長してからの何とか私のことを利用して得をしてやろうとしていたことなどを想いだし悲しい気分になってしまった。
年の50才を超えた男が80才を過ぎた母に対してこんな感情をいだくとは思わなかったので自分でもビックリしてしまった。