村上春樹、ノーベル文学賞を逃す

近頃は故あって休日を兵庫県の芦屋市で過ごすことが多い。
ノーベル文学賞を逃したことで話題になっている村上春樹の小説を読んでいるとこの付近のことがよく出てきて、おそらく氏はこの近辺に土地勘があるのだろうと思っていた。「ノルウェーの森」の主人公は神戸の高校から東京の大学に進学したし、デビュー作の「風の歌を聴け」では主人公の故郷を「海から山に向かって伸びた細長い街」という記述から神戸市ではなく芦屋市だろうと予測していた。
芦屋市といえば高級住宅街で有名な土地柄であるが、私が過ごしている場所は大きな幹線道路沿いのいうなれば海手で、高級住宅街山の手芦屋とはゼンゼン違う下町だ。村上春樹ほどの人物なら生まれも育ちも良いはずだからきっと山の手出身だと思っていたが先日、近所のオバサンと世間話をしているとそのオバサンの娘が通っている公立中学がなんと村上春樹の出身校だと聞いて驚いた。では小説にでてくるあの場所は私の知っているあの場所では、そう思い当たる所が何カ所か浮かんできて、あいにくの雨空ではあったが傘を差してぶらぶらと歩いて探索にでかけた。

近所の人達が「おさる公園」と呼んでいるあの公園は「猿の檻のある公園」のことか

この公園には何度か来たことがあり、檻の前に立て看板があったがそんなものをわざわざ読んだこともなかったが、よく見てみると

その公園から1本通りを隔てたところにある昔の図書館というのは平日のおそらく火水木しか開いていないので外からしか見たことがなかったが、これも小説に出てくる「古い図書館」というやつに違いない。

そのまま氏の通っていた中学校まで足をのばすつもりだったが生憎雨がつよくなってきたのでそこまでにして家に帰った。すぐ近くなのだからいずれまた近いうちに行くことができるだろう。しかし、まったく何も知らないまま自分が読んだ小説に登場する場所で暮らしていたというのは変な気分だ。