バレンタインデー後記

今年は義理チョコしかもらえなかった。私ももう44才だし、こんなもんだろう。若い頃はバレンタインデーに貰うチョコの数こそが男の値打ちなどとほざいていたが、この年になるとこんなもんだろうし、これで良いように思う。そして、これも年のせいか近頃チョコレートをあまり食べなくなった。年齢による嗜好の変化というやつだろうか、食べてもあまり美味いと感じない。だから貰った義理チョコは包みを開け礼儀程度に少しだけ食べ、残りは次に義理チョコをくれた人や彼女にあげた。

バレンタインデーにチョコを貰ったからにはホワイトデーにお返しをしないといけない。不毛な行為だとは思うが人間関係を円滑にするためとか経済はこういう風にして回っているのだと理由付けしてそれなりの品を選び相手に渡すつもりだ。ただしかし、今年はどうにも納得のいかない義理チョコが1つある。

本当は2つなのだが、うち1つはここ数年続いているのでしょうがないと諦めている。その諦めている義理チョコは彼女の母からのものである。私は彼女の実家に盆暮れには中元と歳暮を贈っている。そのお返しのつもりだと思うのだが彼女の母から毎年チョコレートが送られてくる。そしてホワイトデーにはそれにお返しをする。合計年に3回の贈り物だ。チョコさえ貰わなければ中元、歳暮だけで済むのに、なんでホワイトデーにまで気を遣って贈り物しなければならないのかと軽い怒りを感じる。

そして今年初めて貰った方の納得のいかない義理チョコとは、仕事がらみであるのだが、ぜんぜん親しくない相手からなのだ。確かに世話ならしてやっている。そのお礼の意味のチョコだと思うのだが、それならば普通「中元」か「歳暮」だろ、と思うのである。別に中元や歳暮といった堅苦しい物でなくても、のし紙に「御礼」とかいて何かを送って欲しい。何故お返しが確実なバレンタインデーのチョコなのだろうか。別にコッチはこれっぽっちも相手と仲良くしたいなどとは思っていない。ただ、お返ししないと後々仕事がやりにくくなるかもしれないからお返しするだけなのだ。

ド厚かましくも義理チョコなんか持って来やがる女というのは実に厄介な存在である。