あおい

 昨日のこと、車を運転中おおきな交差点で信号待ちをしていた。高校生くらいの男の子2人が車の途切れるのを待っている。どうやら横断ではないようだ。男の子たちの視線の先には茶色い布のような何かが。おそらく落とし物か、それとも風で飛ばされた小物を取りに行くのだろうと眺めていた。車が途切れると1人が上着を脱ぎそれを手に2人で交差点の真ん中に歩き始めた。私が布切れだと思っていたのは車にひかれた子猫で、少年はその亡骸を上着で包んで歩道まで運んだ。その後どうするのかは知らないがなかなか真似できることではない。なにか役に立てることはないかと考えたが私にできることはなにもない。そのまま信号が青にかわった瞬間に車を走らせた。

 その後しばらく複雑な心境でいた。実は1週間ほど前、雨の日に車を運転していたときのこと。歩道を歩いていたお爺ちゃんが転んだ。傘を持っていたせいで上手く受け身を取れなかったようだ。「どうしよう」と思っていると私の後ろの車の運転手が車をおりて駆け寄った。様子を見ているともう1台後ろの車からも人がおりてきてお爺さんを助け起こした。モロに顔から転んだのだろう額が切れて血を流していた。最初の1人がスマホを取り出し電話している。おそらく救急車を呼ぶのだろう。私はそのまま立ち去った。後に残ったのは自己嫌悪だけだ。

 雨のなか車から降りて、ズブ濡れ、血まみれになって人助けすることを躊躇した挙句の自己嫌悪・・・。私はそういう人間だ。